演奏会を終えて、出演者リポートを少しずつUPしていきたいと思います
トップは「あの人は次いつ書くの?」とリクエストが集まったあの方、ホルンパートのIさんです
昨年のポップなポエム調とは違う、新たな切り口です!?笑
刺さるような熱さを持った光に眼を細めた。
「眩しい・・・。」
前明かりの幾つものハンガーライトの平凸レンズ達がギラリギラリと気持ちを煽る。
僕は光から逃げるように視線を下に向け、爪先だけでコツコツとステージを軽く鳴らして平常心を見つけようとした。しかし、完全な平常心は戻って来ない。やはりホールとなると、ましてや本番となると痺れた血液が細かい筋肉の動きを妨げる。
出すべき音を出せる気がしない。
「DAMN!(ち〇しょう!)」
窮屈な自分の周りの分厚い空気の層と視界。広さを感じたくて辺りをゆっくりと見渡した。
脳の中で止まって見える、一緒に練習してきたメンバーの顔。三澤先生の顔。
「嗚呼。そうか。」
それまで分厚かった空気が、涼しく溶けてスルリと身体の奥の方へと流れて留まる。
「ワクワクだ。」
三澤先生の指揮棒の先端がフワリと浮き上がって凛として止まる。
それに吊られるように僕とみんなの楽器がフワリと上がり、全ての時間がそよそよと止まる。
「さあ!楽しもう!ワクワクの始まりだ。」
そう思った瞬間、僕らの音が動となってパンとホールを膨らました。
限られた少ない練習回数で、しかも初めの人達も多い中で、最後にはこんなサウンドが響くなんて。
たとえ、何があってもそれはワクワクならではの貴重な体験。
これが、ワクワクをやめられない理由。みんながきっとそう。
また来年も。